7b544110

犬はどんな状況にあっても仲間を見捨てたりしない。

ネット上で上がるそんな伝説は案外本当なのかもしれない。

 先月12月25日、ウクライナのウージュホロドの動物救助隊の元に、線路の上に2日間もとどまっている2匹の犬がいる、という連絡が入った。

すぐさま駆け付けたスタッフたちが見たものは、怪我を負って線路の上から動けなくなていた1匹のメス犬と、彼女に寄り添うようにしてそのそばを離れない1匹のオス犬の姿だった。

 それは胸がつぶれるような光景だった。この線路は現在も使用されていて列車が通る。

 そしてついに列車が来た。オス犬はメス犬の身をかばうように身をかがめ、列車が通り過ぎるのを線路の中央で2日間もやり過ごしていたのだ。自らは逃げることができるにもかかわらずだ。



厳しい寒さの中、線路で生き延びていた2匹の犬

 この映像は救助隊の一人、デニス・マラファエフがFacebookに投稿していたものだ。オス犬は動けないメス犬から決して離れることはなかった。常に彼女の体を暖めようとしていたという。

52fbf190

列車の音に気が付くと、メス犬の身をかばうようにその隣に横たわる。

2匹は共に頭を地面に押し付ける。

9d794137

列車通過中ずっと列車の下で身をひそめる2匹。

オス犬は逃げることもできる。だが自分もメス犬と共に列車の下で待機する。

653d43c0
 
12月にもなると最低気温がマイナス10度以下にもなるウクライナで、2匹は2日間もこんな過酷で危険な状況を生き延びていたのだ。

4532a9f6

無事救助された2匹、そしてついにハッピーエンドへ

 一刻も早く彼らを助けなければ!

 危険な状況を目の当たりにした救助隊はタイミングを見計らって線路の2匹に近づいた。だが彼らは見知らぬ人間への警戒心が強い。オス犬はメス犬に守ろうと必死に吠え、人間を近づかせることを拒む。その作業は容易ではなかったが、なんとか車に乗せ速やかに動物病院に運んだ。
 

5ccba01e

ac28a363

0aab837d

幸いなことに2匹はまもなく元気になった。怪我をしていたメス犬はルーシー、オス犬はパンダと名付けられた。

 予防接種も済ませた。そして施設の人々と触れ合っていくうちに、徐々に人間に信頼を置くようになった。

 そして念願の里親希望者が現れた。
 ある男性にペアで引き取られたという。



 2日もの間、食べるものもない極寒の線路上で、何よりも大切な仲間を見捨てず、暖め続けていたパンダ。逃げることもできた。でも彼は、あえて列車が走り抜ける一番危険な時を、仲間のそばで、仲間とともに過ごした。

 その勇気ある行動が運命を明るい方向へと導いていったのかもしれない。

 現在は里親の元で2匹は仲良く過ごしている。
 


 フェイスブックで彼らのことが伝えられると、多くの人々がその愛情と勇気と幸運をたたえ、たくさんのメッセージが寄せられたという。